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電子書籍は紙書籍と異なるコンテンツ

昨今、日本でも電子書籍が一般的になりつつあるなかで、先日、次のような出来事がありました。

それは、マガジンハウスから発行されているファッション誌「an・an」(2015年9月16日号)で、紙媒体ではモデルの佐々木希さんのグラビアページがあったのに、電子書籍のKindle版では該当ページがなく、アマゾン側が発売停止(2015年9月15日現在)にしたというものです。その理由は明かされていませんが、ユーザーの不満が募り、アマゾンのレビューでも最低評価が続出したそうです。発行元としては、「佐々木希さんの写真は掲載されておりません」と商品紹介ページに記載していたため、ユーザーに知らせていないわけではないようですが、多くの人が見落としていたということなのでしょう(経験上、商品紹介ページは基本的には出版社が作成し、特にアマゾン側はチェックしていないと思われます)。

主観的な感想をいえば、電子書籍はまだ勃興期のため、作り手(出版社サイド)も読み手(読者サイド)も探り探りであるように思います。私自身、読み手の立場としていえば、やはり紙書籍に比べ、読みにくいのは事実。実際、使ってみると、案外雑誌などのヴィジュアルが多いコンテンツの方が読みにくく感じます。一方で、長時間は無理にしても、活字の方が読みやすい印象です。ただ、紙に比べて総じて読みにくい。いくら本の重さがなくなり、ダウンロードすればすぐ読めるという利便性があったとしても、読みにくいのであれば、本としての役割(読むということ)は果たしていないでしょう。

一方、作り手側からすると、電子書籍用のデータを作るのは、紙書籍とまったく異なるといってもいいと思います。どちらかというと、ホームページを作るのに近く、エディトリアルデザイナーでは難しいのではないでしょうか。Kindleでいえば、リフロー型とフィックス型という作り方が主流ですが、どちらも難点が多い。リフロー型は流動型ですから、ユーザーが書体の大きさや種類を選ぶことができ、デバイスを縦にしたり横にしたりして読めます。活字メインの場合は、リフロー型が主流です。フィックス型は固定型ですので、作り手が指定したレイアウトや書体の大きさと種類で固定され、ユーザーにとってはかなり読みにくいでしょう。デバイスも横が基本です。雑誌や漫画はこちらが主流となっています。

価格面でも紙書籍より電子書籍の方が安い。それでも相乗効果として売りたいのが、多くの出版社の狙いでしょうから、両方出さざるをえない。ただ、紙書籍より電子書籍の方が軽くなってしまうのは実感としてあります。なぜなら、電子の方は修正が自由に利くからです。もちろん緊張感はあります(電子書籍の方がレビューがつきやすいように思います)が、どこか「ついで感」が残ります。まだまだ電子書籍は改善の余地がありますが、実際、多くの作り手は四苦八苦しているといえます。文字化けを含め、データをアップしてみないと正しく反映されているかわからない。なんともストレスが多い状況です。

今回の騒動。紙書籍と電子書籍はまったく別物という認識が、作り手にも読み手にも欠けていたことが原因に思えます。内容が紙と異なるのであれば、それは読み手にとって不満になることは事前にわかることでしょうから、もっとアナウンスしないといけない。これは他人事ではありません。一方で、読み手も紙書籍と同じとは思わない方がいいと思います。もちろん、それが小説の場合だったら困るのですが……。

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