途派始動

■途派とは?

新たな芸術運動を起こすべく、途派が始動! さて、途派とは何ぞや? 読み方は「みちは」です。

かつて小説を書いていた、小説家になりたかったという人は結構います。もちろん、社会に出て仕事をしながら、小説家を目指している人もいます。現在、小説家になるためには、文学賞を受賞するしか道はないといえるでしょう。しかし、かつては、同人誌から自費出版から小説家になることは可能でした。そういったいくつかの「道」があることで、いろいろな作家がデビューし、いい作品が生まれたともいえます。

ところが昨今、出版業界はいよいよ瀬戸際に立たされています。文芸であっても「売れるもの」でなくてはならなくなりました。売れるもの、それはおおざっぱにいえば、一般の人にわかりやすいものが多いでしょう。その傾向によって、本来、わかりやすいものである必要がなかった文芸が、とてもわかりやすいものとなってしまいました。そのことは文芸作品の均一化を起こさせているといえます。

本書は、私たちが文芸集を出版することで、ひとつの新たな「途」ともなることを示したいという趣旨があります。すでに文筆活動を行い、あるいは出版業界などに携わっていれば、まったくの素人とはいえないかもしれません。しかし、私たちは少なくとも、それぞれがそれぞれの理念や想い、スタンスを持っており、それらを実現しつつ従事しています。

最後に、誤解がないよう付け加えると、既存の出版界、文壇と敵対したいわけではありません。敵対するほどの余裕は、現在の出版界にはないし、時間もありません。それよりも、協力し、交わり合うことで、ますます良質な芸術文化を生み出したいと考えています。既存の「道」(文壇や画壇など)とは別の「途」、その途は道にも通ずるものであり、一方、独立してつながっている途でもあります。

■『途派文芸集第一巻』刊行!

michiha_cover

その途派の活動第一弾として、2016年11月に『途派文芸集第一巻』を刊行! 寄稿者と収録内容は下記のとおりです(敬称略)。

・荻野直人(景文館書店)…連作詩「美術4」
・苅谷崇之(ライター)…小説「たはかれかはたれ」
・佐藤文香(俳人)…俳句10句、それにまつわるエッセイ
・島田潤一郎(夏葉社)…小説「株式会社武蔵野製作所物語」
・田丸雅智(小説家)…ショートショート「海酒」
・三川祐(小説家)…エッセイ「怪談・物語の持つ物語性の物語」
・山本和之(パブリック・ブレイン)…小説「外付け子宮」

仕様は176ページ、四六判変型、ハードカバーです。ブックデザインは、装幀家の水戸部功さんが手がけています。

2019年から公開されている、装幀家・菊地信義さんのドキュメンタリー映画「つつんで、ひらいて」(広瀬奈々子 監督)で、『途派文芸集第一巻』が紹介されています。